【 概要 】

QT短縮症候群は心電図で心臓の興奮からの回復を意味する再分極過程を反映するQT時間が短縮し、心室頻拍(しんしつひんぱく)は心室細動(しんしつさいどう)という危険な不整脈が出現し、失神や突然死の原因となりうる症候群です。生まれつき、または明らかな原因のない先天性QT短縮症候群と、何らかの原因があって引き続き発症する後天性(二次性)QT短縮症候群があります。先天性QT短縮症候群は極めて稀な疾患で正確な発生頻度は分かっていません。

【 分類 】

先天性QT短縮症候群は心臓の電気興奮を作り出すイオンチャネルというイオンを通す孔の異常によっておこる遺伝性の疾患です。
これまでに6個の原因遺伝子が報告されています。(表1)これらの遺伝子変異は、心臓の電気的興奮を作るイオンチャネルの異常が主で、心臓の興奮(活動電位持続時間)が短縮し、心電図ではQT時間が短縮します。もっとも多いQT短縮症候群1型(SQT1)の遺伝子異常は25%程度に認められるとされていますが、その他の遺伝子の検出頻度は低くなります。後天性(二次性)QT短縮症候群は、電解質異常(高カリウム血症、高カルシウム血症)、発熱や薬物などなんらかの誘因に伴ってQT時間が短縮するものです。

From : Cardiology Beat